朝型になれない私と東海岸

朝型にしようと思っているのに、なかなか夜型が直りません。日本で長きにわたりあまりにも夜型生活をしてきて、午前4時・5時に寝るのが普通になってしまっていたので、いざ12時前に布団についても寝付けないか、2~3時ごろに目が覚めてしまいます。完全に身体の野郎は昼寝だと判断しているようです。せっかく運動不足解消のために毎朝ジョギングをしようと思いランニングシューズを買ったのに、初日から計画が挫折しました。ガチョーン。

 

授業でヴァルター・ベンヤミンによるカフカ論・ボードレール論・プルースト論を読みました。

Illuminations: Essays and Reflections

Illuminations: Essays and Reflections

特にボードレール論は、『悪の華』とボードレールが生きたパリの群衆the crowdの関係性を考察している論で、テーマ的に自分の研究関心に近いこともあってとても刺激的でした。この授業の教官はポール・ド=マンの教え子で、脱構築的な読みがお好きらしく、講義タイトルも「Walter Benjamin and the Destruction of "Modernism"」と示唆的です。ベンヤミンのテクストは批評とかコメンタリーとしてではなくて、「文学」として読まれなきゃダメってずっと言っている気がします。色つきサングラスをかけた怪しい先生が、"The point is... the relation ... between text and death.... OK?"とか言うと、「いや、お前がOKじゃねえよ」とか突っ込みたくなりますが、基本的にはとっても優しいいい先生です。

 

ついでにオルバニー英文科の学風みたいなことについて少し。授業を三つしか履修していないしまだなんとも言えないけれど、今のところ思うのは、予想していたよりも歴史主義系批評を評価してはいないということです。上述の先生は「ベンヤミンのhistorical materialismはジェイムソンみたいなマルクス主義とは一味ちがうし、そもそもベンヤミンマルクス主義じゃなくて天才テクスト読みなんだからねっ」と言うし、理論を学ぶ基礎講義の先生はラカニアンだし、ディケンズの先生はまだよくわからないけど、いわゆる伝統的な「文学史の先生」という感じです。僕の研究計画でよく通ったなという気がしないでもない。理論の志向性としては、イェール大とかで脱構築が一世を風靡したころの名残があるというのか、なんかこう「東海岸っぽい」印象を持っています。あくまでも思いつきですよ。

うん、でも生まれて初めて「文学部」で学んでいるわけですが、とても面白い。毎回新鮮な発見が色々あって、非常に楽しいです。

 

"Cold Case"から、Cyndi Lauperの曲を。サビで、"We have no past, we won't reach back"って歌っているところが、ちょっと留学に来た心境と重なってグッと来ました。


Cyndi Lauper-All through the night