白ヤギさんと黒ヤギさんのトークショー

風邪を引いて本が頭に入らないので、金曜日は薬を飲んでしっかり休んでしまいました。しかしながら、おかげで朝型に戻れて、今現在土曜日の朝9時半です。体調も良くなったので、今日こそはがんばります。

 

鼻をグズグズさせながらも、、昨日はクッツェーとオースターのトークがあるというので大学に行ってきました。

http://www.albany.edu/writers-inst/webpages4/programpages/vws.html

二部構成で、一部はメルヴィルの「バートルビー」についての討論会、二部は今度出版される書籍の朗読会でした。僕は二部だけ参加してきました。

 

オースターの提案で、2008年頃から二人は文通を始めていたそうです。そのやり取りの模様が、Here and Nowというタイトルで2013年の3月に書籍化される予定であり、今日のイベントはその中から、二人が自分たちの書いたいくつかの手紙を読み上げるという形でした。

 

ニューヨーク三部作で知られるユダヤ系アメリカ人オースターと、南アフリカで生まれ育ちアメリカで博士号をとったクッツェーが、固有名詞と記号の関係のような文学・言語学的話題から、パレスチナ・イスラエルの政治問題、本のデジタル化といった今日的トピックまで、広範なテーマについて言葉を交わし合います。言ってしまえば今度出る本の宣伝という性格も強かったので、詳しくは来年の3月に買って読んでちょんまげ、ということなのでしょうか。

 

どうでもいいところで面白かったのは、相当頻繁に手紙をやり取りしているんだなあということでした。「10月11日、親愛なるポールへ」とクッツェーが手紙を読み始めると、オースターの次の手紙が「10月14日、親愛なるジョンへ」だったりして、もうほとんど白ヤギさん黒ヤギさんも顔負けの筆まめっぷりでした。たぶん二人とも、学研のおばちゃんかペンフレンドからの手紙か、くらいに首を長くして「まだかなまだかなー」と待ちわびていたのではないでしょうか。ステージの上にいるのは現代作家のまぎれもないビッグネーム二人だけれど、そう考えるとグッと親近感が湧いたし、また、手紙という媒体の面白さを教えられた気もしました。